記録に挑んだ者たち
大きな車体、響き渡る排気音。
現在の日本においては、ハーレーダビッドソンは「ゆっくり走りを楽しむ、大人のバイク」といったイメージの人が多いのではないでしょうか。
そのイメージが間違っているという話をしようとしているのではありません。
そんな現在のイメージとは間逆の、「速さ」に挑んだ時代があった、という話をしたいのです。
常に最新技術の開発に勤しみ、トライアンドエラーを繰り返し、一般向けモデルの技術として完成されていく、その過程において、レースへの挑戦は避けられないものです。
公道とは違い、全く最新の、革新的な技術を走って確かめられる場所はレースしかなかったのです。
数多くのレース実績がある中でも、1937年フロリダのデイトナビーチで行われたチャレンジレースはハーレーの歴史に深く刻まれています。
この時、1926年から11年間破られることのなかった世界最高速度をハーレーが更新したのです。
レコードは時速217.89kmでした。
また1990年には時速518.45kmという記録を樹立します。
日本のバイクメーカー・カワサキが1978年に509.757kmという当時、前人未到といわれた記録を打ち立ててから12年後、ハーレーが更新したのです。
この他にも数多くの伝説的なレース、チャレンジを繰り返してきたハーレー。
満足なヘルメットや専用ウェアがなかった時代、命をかけて挑んだライダーの勇気、開発者の探究心は今も受け継がれています。