フラットヘッド(1929~73) アメリカが愛したエンジン、サイドバルブ
フラットヘッド(1929~73)
ハーレーダビッドソンはアメリカを代表するモーターサイクル・メーカーであるところは世界中の誰もが認める所でしょう。
モーターサイクルに限らず、四輪車においてもアメリカは世界をリードしてきました。
ハーレーが1929年から採用していたサイドバルブのエンジンも、元々はフォードが開発したもので、それをハーレーが二輪向けに改良したものでした。
切磋琢磨しながら、業界全体が発展の一途をたどった時代を彷彿とさせるエピソードの一つですね。
フラッドヘッド・サイドバルブとはオイルの循環機能を持たず、フライホイールがオイルをかきあげるという非常に簡素なエンジンです。
もちろんパワーにおいてはナックルヘッドと比べると劣ります。
しかし部品が少ないために故障が少なく、耐久性に優れていました。
故にフラッドヘッドは軍用バイクに搭載され活躍したエンジンでもあります。
1929年と言えば、第一次世界大戦終結から11年。
アメリカ軍からの発注を受け、堅牢でメンテナンスの手間がかからない軍用バイクを開発・生産したその技術が、一般向けモデルにしっかりと継承されたエンジンだったと言えるのではないでしょうか。
フラッドヘッドの次はナックルヘッドというハーレー初のOHV方式を採用した高性能エンジンが登場するのですが、フラッドヘッドはその骨太さから約半世紀に渡って生産され続けます。
一般モデルだけでなく商用の三輪カーにも搭載されました。
アメリカの発展と共に、長く長く愛されたエンジンと言えます。
(フラットヘッドの画像引用先;ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)P139)