BMWを模したL型フラットエンジン
1942 XA
ハーレーダビッドソンは二度の世界大戦中、アメリカ軍の軍用車の生産に追われました。
ヨーロッパに派遣されたアメリカ軍兵士たちが、昼夜を問わず伝令に走ったり、物資を運んだり、けが人の輸送に使ったりと、まさに戦争の足・ハーレーとなった時代があったのです。
軍需開発された堅牢なエンジンは後に、一般実用向けに転用されていきましたから、軍需に関わることでハーレーの技術力が鍛えられたことは言うまでもありません。
しかし、一方で、生産ラインが全て軍用モデルに割り当てられてしまって、一般市場向けの生産が止まってしまうなど、本来のモーターサイクル・メーカーとしての役割が疎かになった事も事実です。
また、せっかく軍のオーダーを受けて生産したものの、戦術上の需要がなくなってしまい少数しか生産されず、戦後に至っても一般向けに転用されることすらなかったモデルも存在します。
中でも、1942年のモデルXAはわずか1000台生産されたきり、二度と作られることのなかったハーレーです。
軍のオーダーは砂漠に強く、ある程度までなら水中も走れるような車両でした。
ハーレーはBMWのエンジンをコピーします。
なぜなら、当時BMWのエンジンは世界最高の精度を誇っていたからです。
ハーレーとしての誇りよりも、自国の勝利に貢献する車両を提供したいという愛国心からだったのでしょうか。
こんな所も実にハーレーらしい、そう思えるモデルです。
(1942 XAの画像引用先;ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)P75)