パンヘッド(1948~65)
1948年に登場したパンヘッドと呼ばれるエンジンは、ナックルヘッドと同じOHV方式のエンジンです。
ラインナップとしてはナックルヘッドの後継エンジンとなります。
ナックルヘッドは前タイプのフラッドヘッドよりも出力が大きく力強いエンジンではありましたが、故障が多く、日々のメンテナンスが大変なエンジンでもありました。
そこで、ナックルヘッドで
課題となっていた部品や機構を見直して発売されたのがパンヘッドなのです。
主な改良点は油圧まわり、
オイルの潤滑ラインで大幅な性能の向上とメンテナンスフリーを実現しました。
また、シリンダーヘッドにアルミを使うことで放熱効果が高まり、バルブにシートリングと言われる受け皿を採用したことから耐久性と吸排気能力も向上しました。
ナックルヘッドと比べると、排気量、最高出力はほぼ同じながら、信頼性においては全く別モノ、格段の進化をとげたエンジンの誕生でした。
ところで、この1948年のパンヘッドは
日本では「ヨンパチ」と呼ばれて愛されているモデルです。
パンヘッド自体は1948年から1965年まで次々と発売されたのに、1948年式だけは
「幻のヨンパチ」と呼ばれ貴重なモデルと位置づけられています。
この理由は、1949年からフロントがテレスコピックフォークになったためで、
スプリンガー・フォークを搭載したのは1948年の1モデルだけだからです。
ビンテージハーレーの代名詞である
スプリンガー・フォークは今も人々を魅了し続けているのです。
(パンヘッドの画像引用先;ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)P143)