ナックルヘッド(1936~47) 初のOHVエンジン
ナックルヘッド(1936~47)
サイドバルブのフラッドヘッドは頑丈でメンテナンスの手間がかからないことから、軍用や商用モデルとして活躍しました。
しかし、その頑丈極まりないフラッドヘッドに「ベビーツイン」というかわいらしい名前を付けさせたエンジンがあります。
それが1936年に登場したナックルヘッドです。
サイドバルブではなくOHV、オーバー・ヘッド・バルブ方式を初めて採用したエンジンでした。
この「オーバー・ヘッド」という所がフラッドヘッドとの最大の違いです。
フラッドヘッドのサイドバルブ方式はオイルの循環をフライホイール任せだったのに対し、オーバー・ヘッドはエンジンの上部にバルブなどの駆動を司るパーツが置かれていたのです。
従ってフライホイールがオイルをかき上げて循環すれば良いという訳にはいかず、
下から上へオイルを循環させる必要があったのです。
これが「オーバー・ヘッド・バルブ」の意味となっています。
元々はイギリスで開発されたOHV。
ハーレーはカムシャフトを1個にしたり、アルミ製のロッカーアーム・カバーに美しい形状を施すなどして、進化させました。
ちなみに、ロッカーアーム・カバーの形状が握りこぶしのように見えたことから「ナックルヘッド」と呼ばれるようになった事は、あまりに有名すぎるエピソードです。
OHV方式のナックルヘッドは、
これ以前のフラッドヘッドと比べて2倍の出力を誇りました。
アメリカ軍からも愛されたフラッドヘッドを「ベビーツイン」などと呼ばせるに至った所以は、この出力、大排気量にあるのです。
(ナックルヘッドの画像引用先;ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)P141)