美しいボディは美しいフレームから
サスペンションの系譜を見る過程で、連動して重要なものはフレームです。
20世紀後半から近年にかけてのフレームを振り返ってみる事にしましょう。
まず1984年に発売されたリジッドマウント・ソフテイルフレーム。
これは、リアサスペンションをトランスミッションの下に隠すにあたって、
2本のサスペンションをしっかりとホールドできるように設計されました。
(リジッドマウント・ソフテイルフレーム)
1984年から発売されたソフテイルフレーム。
外観はリジッドフレームに似てますが、2本のサスペンションがエンジン下部に装備されています。
ハーレーが他社が開発したシステムを買収して採用しました。
ソフテイルは、見た目においてリジッドなルックスを目指していましたから、
このフレームが果たした役割、効果は大きなものでした。
1992年にはラバーマウント・ダイナフレームが登場します。
エンジンがラバーマウントされた最新モデル用のフレームでしたが、ルックスそのものはオールドハーレーらしいグライドフレームで、現在も非常に高い人気を誇っています。
特徴としては
スイングアームをフレームではなくエンジンミッションに接合した事でしょう。
(ラパーマウント・ダイナフレーム)
ダイナフレームは1992年から発売。
人気の高い往年のグライドフレームを継承する形状です。
スイングアームはフレームでなく、
エンジンミッションに接合して可動し、エンジンは、ラパーマウントです。
時代に合わせた進化をとげて、剛性が強化されつつも、
ルックスにおいてオールドハーレーのテイストを残していたのです。
高い人気も頷けますね。
もう一つ、ハーレーらしいフレームをあげるなら、
2001年発売の水冷スポーツ・VRSCフレームでしょう。
まず、バックボーンが全く異なりました。
ハーレーの伝統である丸パイプこそかろうじて残されたものの、
これまでのハーレーとは全く異なるルックスだったのです。
(水冷スポーツ・VRSCフレーム)
ポルシェ社との共同開発で、ハーレー初のDOHC水冷エンジン搭載の、VRSCのフレームです。
これまでのスタイルを一新するバックポーンスタイル。
しかし、丸パイプのクレードル式は継承しています。
このフレームには賛否両論それぞれありますが、
いずれもハーレーへの愛ゆえにこそ発せられているものばかりです。
(フレームの画像引用先;ハーレーダビッドソンの世界 (平凡社新書)P167)